汝の炎を朝の太陽として放射すベし。暗黒を閉め出して日中に生きるベし。智恵の師ら、朝の太陽は、人の子らに対する光と生命なり。
(エメラルド・タブレット)

第1日目

本日の奈良の日の出は4時55分

4時半に家を出ると、月を見ることが出来るけれど、あたりは大分明るくなっていて、鳥達はすでに太陽を迎える歌を歌っている。

1番見晴らしの良い丘の上を目指して公園に足を踏み入れると
柔らかい地面は、まだ夜の気配をまとっていて夜露でひんやりとしている。

木々に囲まれた見晴らしの良い丘の上に居ると、御蓋山と若草山の間から昇る太陽は雲で見えず、見えはしないけれど、
雲に太陽の火が映り、黄金に縁取られている。


鳥達の、太陽とアサを讃える歓喜の歌声がいよいよ最高潮に達し、空気にすぅーと、きらきらした光がはいりはじめると、日の出を認めた鳥達はそれぞれの持ち場に帰って行き、

代わって鹿たちが朝の食事に現れ、草を喰み優しく鼻で地面を押すと、その合図に地面は朝に目覚めた様に感じた。

散歩やジョギングをする人々が見え始め、

その時私だけが、太陽を見られないことを残念に思っていたけれど
太陽の姿が見えまいが、
太陽はいつも昇り、
現象たち全てが
新しい太陽と新しいアサに喜び、
太陽によってそれぞれの新しい1日が始まった。


第2日目
4:20頃、今日は曇天でまだ町も鳥達も眠っているよう。

公園に着くと、山は深い霧に包まれている。
昨日が雨だったせいか、牛蛙の低い声が響いている。
山も霧に包まれて今日も太陽は見えそうにない。
現象たちに朝がやって来るのを感じることにする。

まだ静かな丘の上を足裏を移しをして歩きまわる。
大地のマルくなっているのを感じる。
ずっと地の下の核の部分に引かれて、
私の体が垂直に立ち
てんとちを結んでいる。


大地とよりそった大気になって拡がっていく、
ふいに花の香りに包まれ、目を開けて遠くの木々まで見回しても花は見えない。

花がアサに目覚めたのかな?

私の意識がアサに目覚めたのかな?

大気にとけたから遠くの花の香りがしたのかな?
とても良い香りだ。

また目を閉じて現象全てになっていると、
やがて夜が波の様に退いて行き、
空気にきらきらした光が映され、ふえていき、
アサを従えて太陽が現れる。

太陽は「在る」だけで与えている。

「在る」だけの太陽になると、
太陽は自らが産みだした全てが愛おしくてならない。


太陽で、「在る」だけで全てを与えつづける愛

太陽のヒでスミズミまでてらす。

目をあけるとまだ霧に包まれて暗かったけれど、牛蛙は鳴き止んでいた。

胸の中に、
まんなか、まんまる、とひびく。

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